院長ログ

糖尿病の歴史13 (血液も甘い 1775年)

マチュー ドブソンは英国リバプールの内科医です。彼も糖尿病患者の尿(ピーター ディッコンソン、1日に15Lの尿!)を乾燥させ、尿に甘さ物質が含まれていることを確認しました(1775)。彼の偉いところは、血液も甘いことに気づいたことです。甘さのもとが血液の中にあるなら、糖尿病は腎臓の病気ではありません。では甘さはどこからきたのでしょうか。ドブソンは「甘さは胃で発酵されて産生された」と考え、糖尿病は胃の病気!と主張しました。


8オンスの血液を採取し、しばらく置くと次の様相が現れる。。。血清は白濁し、チーズ乳清のごとくである。血清は甘いが、尿ほど甘くないと思った。

糖尿病が体質の病気であり、ある意味で不完全な消化・同化の病態と考えられるなら、その治療法は消化力を高め、完全な同化反応を確立することにあるのは明らかだ。


血糖は尿糖に比べて格段に薄いので、よほど高血糖にならないと甘味を感じません。先ほど紹介したフランシス ホームは、「自分も舐めてみたが患者の血液は甘くなく、甘さ物質の出所は腎臓」としています(=糖尿病は腎臓の病気)。この問題に最終決着をつけたのはジョージ オゥエン リース(1813-1889)です。彼は1838年に糖尿病患者の血液からいかにして尿糖が出るかを証明しました。


平成27年5月12日
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