DHAサプリは認知症機能低下を予防しない
ドコサヘキサエン酸(DHA)は魚油に多く含まれる多価不飽和脂肪酸です。観察研究で認知機能の低下を予防すると報告され、サプリメントも出ていて人気のようです。ただ観察研究はバイアス(偏り、ずれ)が入りやすい統計方法です。バイアスが少ない方法は無作為化試験ですが、無作為化試験で認知症予防効果を認めた報告は5件/24件(21%)しかありません。
これを5件もあると考えるか、5件しかないと考えるか難しいですが、これまで行われた無作為化試験は「参加人数が不足、対象集団が不均一、試験期間が短い、投与量が最適でない」など、方法上の問題があるそうです。そこでより厳密な方法で認知症予防効果の再検討が行われ、その結果が報告されましたので紹介します(eBioMedicine 2026)。大人数(365人)で、長期間(24か月)観察した 無作為化・二重盲検・偽薬対照試験です。
対象は、認知症がなく、食事からの DHA 摂取量が少なく (<200 mg/日)、かつ 1 つ以上の認知症リスク因子を有する55-80歳(平均66.4歳)の人たちです。 739人スクリーニングし、うち365人を無作為に割り付けました。認知症リスクであるAPOE ε4も測定し、これに基づいて層別化しました。 DHA 2 g/日または偽薬を投与しました。このDHA投与量は高用量です。
6 か月後に脳脊髄液中のDHA/アラキドン酸比の変動を検討しました。APOE ε4の状態と無関係に、DHA投与群でこの比が増加しました(DHA群0.17、偽薬群-0.02)。これは脳にDHAが届いていることの確認になります。24ヶ月にわたり観察したのですが、残念なことに海馬容積や認知機能には改善が認められませんでした(海馬は記憶に関係する脳領域です。アルツハイマー型認知症では海馬の委縮が認められます)。
DHAのサプリメント摂取だけでは認知機能低下の予防には不十分なようです。
令和8年7月9日
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