院長ログ

若い頃のコレステロール

LDLコレステロール(LDLc)が高くなると、動脈硬化が促進します。中年以降になってLDLc値を気にされる方が多くなりますが、実は若い頃のLDLcも大切です。

米国4つのコホートを合わせて解析した論文が発表されましたので紹介します(JAMA Cardiol 2021)。

対象は18,288人、平均56.4歳(56.4%が女性)、平均追跡期間16年です。18-60歳の間に2年以上の間隔で少なくとも2回LDLcを測定し、40-60歳で1回以上のLDLcを測定した人たちです。

心血管疾患が1165例、脳梗塞が599例、心不全が1145例、起こっています。最も近い採血でのLDLcで補正した場合のハザードリスクを計算しますと、最も高値群と低値群の比較で、

累積暴露LDLcで1.57(P=0.01)、時間荷重平均LDLcで1.69(p<0.001)でした。LDLc勾配とは無関係でした。心不全や脳梗塞とは関連が認められませんでした。この成績は若い時のLDLcコントロールが将来の心血管疾患予防に大切なことを示しています。

高コレステロール血症の治療では10年間の虚血性心疾患リスク(吹田スコア)をみることが多いのですが、もっと長い時間の影響を考えるのが良いかもしれません。


令和3年10月11日


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