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世界的に見た糖尿病:糖尿病アトラス2017年

国際糖尿病連合(IDF)が新しい糖尿病アトラスを発表しました(IDF Diabetes Atlas Eighth edition 2017)。世界的に見た糖尿病が載っています。

今回糖尿病患者さんの数は18-99歳の年齢層で推計され、これまでの20-79歳より拡張して報告されています。

全世界には現時点で4億人を超える糖尿病患者さんがいます。2045年にはさらに増えて、〜7億人と予測されています。糖尿病は富裕国だけの問題ではなくなっています。重荷の8割は中〜低所得国にかかっています。糖尿病は高齢者に多く 65歳以上の人が1/3を占めますが、妊娠糖尿病(妊娠に伴う糖尿病)も増えていて、アフリカでは妊婦10人に1人、南東アジアでは4人に1人が妊娠糖尿病です。

糖尿病患者さんの数が多い国は、中国、インド、米国の順で、これはこれまでと変わりません。さらにみていくと、ブラジル、メキシコ、インドネシア、ロシア、ドイツ、エジプトと続き、日本は第10位です(18-99歳の年齢層)。

「20-79歳の年齢層」で推計すると、日本はトップテンから脱落します。第1-9位の国はそのまま残るのですが、第10位がパキスタンです。

糖尿病をわずらっている人の割合(有病率)が高い国はマーシャル群島、ツバル、トケラウの順で、5位までが太平洋にある島国です。

高齢者の多い国では糖尿病の有病率が高くなります。そのため有病率を国別に比較するときは年齢構成で補正します。補正糖尿病有病率(18-99歳)の高い国はマーシャル群島、ツバル、ニウエ、トケラウ、ナウルの順でやはり太平洋の島国でした:これらの国々の補正糖尿病有病率は29-23%になります。

日本の糖尿病患者数が多いのは高齢者が多いためです。有病率を年齢構成で補正しますと(18-99歳)、世界221ヶ国中の第160位でした。


平成29年12月6日


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